東日本大震災が起こり、改めてこれからのエネルギーについて、そして今後の生き方について考えさせられた。
今回の地震と津波の被害の惨状を見せつけられ、日本という国が「原発」という、いかに大きなリスクを背負っているかがあぶり出されたように思う。
今日まで、日本の消費電力はうなぎ上りで、なんでもかんでも電力というエネルギーであらゆることを賄ってきた。
今やこの「電力」というエネルギーは、空気や水と同じように、無くてはならない大切なものである。
ほんの一例だが、今の日本では電気が止まったら水道の水も出なくなる。
なぜなら、ビルやマンションの水道ポンプは電気によって動き、電気の供給が止まると当然ポンプも止まってしまうからだ。
水道だけでなく、冷蔵庫、エアコン、テレビ、パソコン、洗濯機、掃除機、空気清浄機、乾燥機等等、電力で動くものを数え上げるとキリがない程、私たちの生活は電力によって動いている。
日常生活だけではない。
我々製造業の現場でも、電力の供給無しに工場が稼働する事は不可能だ。
現在、この狭い日本列島に54基もの原発が存在するそうだ。
日本は地震大国でありながら、なぜそんなに多くの原発が存在するのか。
なぜその原発は、津波の被害が容易に想定できる海沿いに建設されているのか。
●日本の原子力発電所の立地点(出典:社団法人 日本原子力産業協会)
かつて原爆投下という体験を経て、核の恐ろしさを身を以て知っている国であるにもかかわらず、その日本がなぜ、このような原発大国となってしまったのか?
当然、専門家たちは大地震が発生した際に起こりうる原発の津波被害については、危険であると指摘していたそうだ。
しかし、これまで我々国民は、「原子力は、安全でクリーンなエネルギーです。」という安心安全神話を信じ込まされてきた。
そして今も尚、放射能汚染が刻々と広がる中、原発が止まることによる「電力不足」を理由に、その必要性を無理矢理認めさせられようとしている。
日本という国は、海の向こうの諸外国から眺めたときに、一体どのように見えているのだろうか。
そこには、「経済」という力に懐柔された日本という国が見えるような気がしてならない。
「経済」とは、世の中を治め、民を救うという意味の「経国済民」が語源だ。
しかし今の日本は、「経済」という名の恐ろしい悪魔に取り付かれ、後戻りできない状態に置かれているようだ。
戦後目まぐるしい経済発展を遂げた日本は、いまや電力というエネルギー無しの生活は考えられない。
我々日本人はその豊かさを享受し、どこかでその発展を当然と考えていた。
しかし今回の大震災は、そんな日本に対する神からの警鐘ではないかと感じた人も多くあったはずだ。
私自身はこの大震災を前に、目を覚まさせられたように感じた。
このままではいけない、我々が引き継いだこの日本という国を、子々孫々まで引き継げる、良い日本、誇れる日本に再構築すべき時であると感じたからだ。
そのためには、再生可能エネルギーの技術開発と普及に力を注ぎ、早急に化石燃料や原子力に替わるインフラを整備する必要がある。
ここで言う再生可能エネルギーとは、地熱、太陽熱、風力、水力等の自然現象に由来するエネルギーのことである。
日本は資源の無い国と言われるが、それは原油をはじめとする化石燃料が無いという意味であって、再生可能エネルギーに目を向ければ、その可能性はまだまだある。
特に火山列島である日本は、もっと地熱エネルギーに注目すべきだろう。
エネルギー源を一種類に頼らず、複数組み合わせる事で新しいエネルギーのインフラを構築することが可能になる。
そして諸外国との連携を取り、日本の技術力で率先して自然エネルギーへと移行していかなくてはならない。
天を畏れ、自然を敬う。
日本人が古来から持っていたその姿勢と生き方を、今改めて倣わなくてはいけないのではないか。
そしてエネルギーだけではない。
我々の暮らし方、生き方そのものも見直さざるを得ない。
エネルギーの浪費をやめることはもちろんのこと、暮らす場所、仕事等も改めなくてはならない。
故郷や慣れ親しんだ土地での生活を捨て、仕事も捨てる辛さは痛い程わかる。
しかしそれでも、新しく選択するしかない。
特に放射能汚染の危険性がある地域の方は、早急に疎開を検討する必要があるだろう。
地震や津波は天災だが、原発事故は人災である。
人の手によって降り掛かった災難は、人の手によって振り払えるはずだ。
そのためにはまず、自らその命をつなぎ、守るという選択をする必要がある。
次世代の子どもたちに未来をつなぐことが、我々に課せられた大きな命題だからだ。
生き延びて、夢のある新しい日本を作ろうではないか。
この度の警鐘は今や、日本だけのものではない。
海や風を通じ、世界全体にも関わる脅威へと変わりつつ有るからだ。
東日本大震災以降、我々はもう同じ生き方を選択することはできなくなっている。
沢山の尊い犠牲者のためにも、この現実から目をそらしてはいけない。
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